マリアへの受胎告知

礼拝説教「マリアへの受胎告知」 2021年11月28日 アドベント第1週

聖書 ルカの福音書1章26~45節

(序)本日より、アドベントに入りますのでマリアの受胎告知よりお話し致します。

一、マリアへの受胎告知

5節から25節までは、老祭司ザカリヤと妻エリサベツに対する御使いの知らせと、年老いた不妊の女性であるエリサベツが身ごもったことが記されています。この子は、後に救い主の先駆けとしての使命を帯びて活躍するバプテスマのヨハネでした。

エリサベツが身ごもって6ヶ月目のことです。御使いガブリエルがガリラヤのナザレという小さな村の一処女マリアに現れ、「おめでとう。恵まれた方。主があなたとともにおられます」と告げました。これを聞いたマリアは、ひどく戸惑い、何の挨拶かと考え込みました。

続いて御使いは、「恐れることはありません。マリア。あなたは神から恵みを受けたのです。見なさい。あなたは身ごもって、男の子を生みます。その名をイエスとつけなさい。その子は大いなる者となり、いと高き方の子と呼ばれます。また神である主は、彼にその父ダビデの王位をお与えになります。彼はとこしえにヤコブの家を治め、その支配に終わりはありません」と告げました。マリアは、私たちと同じ人間ですが、特別の使命のために、神様から選ばれたのでした。マリアは、「どうしてそのようなことがおこるのでしょう。私は男の人を知りませんのに」と答えています。これに対し御使いは、「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます。それゆえ、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれます」と告げました。聖霊により、いと高き方の御力による奇跡の御業によって男の子がマリアのお腹に宿るということを告げたのでした。そしてさらに、年老いた不妊の女性であったマリアの親戚エリサベツが奇跡的に身ごもり、早6ヶ月であることが知らされ、「神にとって不可能なことは何もありません」(37節)と告げました。

二、謙遜で全く明け渡したマリアの信仰

 御使いガブリエルの「神にとって不可能なことは何もありません」(37節)との言葉に、マリアは即座に信仰をもって「ご覧ください。私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおり、この身になりますように」(38節)と応答しています。

①謙遜なマリアの言葉

38節に記されたマリアの言葉を見る時、まずそこにマリアの謙遜な姿を見ることができます。マリアは、「ご覧ください。私は主のはしためです」と言っています。すなわち、「私は主の女奴隷です。どんなご命令にも従います」という身を低くした謙遜な言葉です。ここにマリアの謙遜な姿を見ることができます。

②全く明け渡した信仰と従順の言葉

次に、マリアは「どうぞ、あなたのおことばどおり、この身になりますように」と言っています。私たちは、なかなか神様のみこころと分かっていてもすんなりと従えない者です。しかし、マリアは、全く明け渡した信仰と従順をもって、御使いを通して語られる神様のことばに、「おことばどおり、この身になりますように」と応答しています。キリスト教は、この言葉から始まりました。この言葉無くして、クリスマスはありませんでした。そこには、全く明け渡したマリアの姿があります。恐れもあり、不安もあったでしょう。しかし、マリアの心の奥底に、神様の御心がなるように、という明け渡した信仰があったのです。キリスト教はまさにこの従順をもって始まり、この従順をもって貫かれています。信仰がなければ従うことは出来ません。信じて従ったのです。

三、みことばは必ず実現すると信じる者の幸い

このようなマリアの信仰の応答の背後には、親戚であるエリサベツが年を取って、不妊の女と言われていたのに、御使いガブリエルが告げた通り、身ごもっていたということがあります。39~40節、そして56節を見ると、受胎告知の後、マリアは、すぐにエリサベツを訪問し、3ヶ月ほど滞在しています。エリサベツはマリアの良き理解者であり、主にある信仰の先輩であり、慰めの存在でした。その3ヶ月の交わりは、どれほど素晴らしい信仰の交わりであり、マリアにとって大きな慰めの時であったことでしょう。41節を見ると、マリアの挨拶を聞くとエリサベツの胎内の子が躍ったというのです。エリサベツは聖霊に満たされ、大声で、「あなたは女の中で最も祝福された方。あなたの胎の実も祝福されています」とマリアを迎えています。

そして、エリサベツは、「主によって語られたことは必ず実現すると信じた人は、幸いです」と言って、マリアの信仰を讃えています。「みことばは必ず実現する」と信じきるということは何と幸でしょう。私たちも「語られたみことば」を堅く信じ、心に蓄え、また人々に証しする者となりましょう。

(結論)主は、信仰の人、謙遜の人、従順の人を祝福し、使命を与えて下さいます。マリアのように信仰をもって、主に仕えてまいりましょう。そして、「語られたみことば」は必ず実現すると堅く信じる者となりましょう。