全能者の陰に宿る

礼拝説教「全能者の陰に宿る」 2021年11月 7日

聖書 詩篇91篇1~16節  

(序)本日は、詩篇91篇よりお話し致します。

一、信仰の告白としての賛美 1~2節

 1~2節は、この詩の主題であり、またこの詩の作者の信仰の告白が歌われています。1節に、「いと高き方の隠れ場に住む者 その人は 全能者の陰に宿る」とあります。「いと高き方」とは、天地万物を創造された至高絶対の存在者であり、力ある真の神様に対する尊称です。「いと高き神」が聖書で最初に出て来るのは、創世記14章18~22節です。ここに4回用いられています。戦いを終えて帰って来たアブラムに、いと高き神の祭司メルキゼデクがアブラハムを迎えて祝福した言葉に出て来ます。アブラハムは、この「いと高き神」に信頼したのです。それに応えるようにして、主なる神は、「アブラムよ、恐れるな。わたしはあなたの盾である。あなたへの報いは非常に大きい」(創世記15章1節)とアブラムに語られました。そのような「いと高き神」を頼りとし、「隠れ場」とする者の幸いが歌われています。「いと高き神」を「隠れ場」とする者は、「全能者の陰に宿るのだ」と言っているのです。

ですから、詩篇91篇の作者は、2節で「私は主に申し上げよう」と言い、「私の避け所 私の砦 私が信頼する私の神」と信仰の告白を、主に向かって歌っているのです。私たちも、この信仰告白の賛美を常に持ち続けていたいと思います。

二、神の守りの具体的体験としての証し 3~13節

3~13節には、「私の避け所」であってくださる主なる神の守りを、様々な場面において体験した具体的証しを歌っています。3節には、「狩人の罠」「破滅をもたらす疫病」からの救いが歌われています。5節には、「夜襲の恐怖」「飛び來る矢」6節には「暗闇に忍び寄る疫病」「真昼に荒す滅び」が出て来ます。しかし、主は、鷲がその翼で雛をおおうように、「ご自分の羽で」覆ってくださるのです。「主の真実は大盾 また砦」であり、その翼の陰に身を避け、何ものも恐れない者とされている幸いを歌っています。7節、千人が、あるいは万人が倒れても、その災いは、「近づかない」というのです。

9節、「それは わが避け所 主を いと高き方を あなたが自分の住まいとしたからである」と言っています。

さらに10~13節において、神の守りが具体的に歌われています。「わざわいは…降りかからず 疫病も…近づかない。…すべての道で…守られる」というのです。

歴代誌第Ⅱ 14章11節をご覧ください。圧倒的な勢力で敵が攻めて来た時、ユダ王国のアサ王が主の助けを求め、「主よ、力の強い者を助けるのも、力のない者を助けるのも、あなたには変わりありません。私たちの神、主よ、私たちを助けてください」と祈って敵の軍勢から守られたことが記されています。

私たち一人ひとりにも、大きい小さいはあるかもしれませんが、具体的に守られた体験があるはずです。それを主に感謝し、あなたの家族親族、友人、知人に証ししましょう。

三、神御自身の約束の言葉 14~16節

 14~16節は、神御自身の約束の言葉です。

ここに、「彼を助け出す。…彼を高く上げる。…彼に答える。…彼とともにいて 彼を救い 彼に誉れを与える。…彼をとこしえのいのちで満ち足らせ わたしの救いを彼に見せる」と、神の御助けと勝利と応答と臨在と永遠のいのちと究極的な救いの約束が告げられています。

それは、「彼がわたしを愛しているから…わたしの名を知っているから…彼がわたしを呼び求め…」るからだというのです。

すなわち、ここには主への深い信頼と主との生ける交わりにある信仰者への神の約束が語られているのです。

 さて、ここでマタイ4章6節をご覧ください。主イエスが荒野で悪魔に試みられた箇所において、悪魔がこの詩篇91篇11~12節を引用して、主イエスを誘惑しています。悪魔は、文脈を外れ、更に聖書全体の文脈を無視して誘惑して来ます。自分の願望だけを求める者は、神に真実の信頼を置いていないのです。神との深い交わりと信頼こそが大切なのです。ですから、主イエスは、申命記6章16節を引用し「『あなたの神である主を試みてはならない』とも書いてある」とこの誘惑を退けておられます。

実に、この詩篇91篇は、神との深い交わりと信頼の上に、神の守りがあることを信仰告白し賛美しているのです。ですから、私たちは、この詩篇91篇を、「彼がわたしを愛しているから…わたしの名を知っているから…彼がわたしを呼び求め…」るからだという神との深い交わりと信頼の上に立っての、神の御助けと勝利と応答と臨在と永遠のいのちと究極的な救いの約束として読みたいと思います。

(結論)神との深い交わりと信頼の上に立って、神の御助けと勝利と応答と臨在と永遠のいのちと究極的な救いの約束がされていることを覚え、「いと高き方の隠れ場に住む者、全能者の陰に宿る者」となりましょう。

そして、主なる神に向かって「私の避け所 私の砦 私が信頼する私の神」と信仰の告白を申し上げようではありませんか。