礼拝説教「神にあっての力ある働き」2023年2月5日
聖書 詩篇108篇1~13節
(序)本日は、教会創立99周年です。来年はいよいよ百周年を迎えます。
この詩篇は、詩篇57篇7~11節と詩篇60篇5~12節を組み合わせ、合成した詩篇です。
一、信仰に立ち、栄光を神に帰する賛美(1~5節)
1~5節は、詩篇57篇7~11節の引用です。詩篇57篇の表題
には、「ダビデがサウルから逃れて洞窟にいたときに」と説明が付けられています。それは、サムエル記上24:1~22を背景にしていると考えられます。ダビデがサウルから逃れてエン・ゲディの荒野にある洞窟に隠れていた時、たまたまサウルが用と足すために、一人で洞穴の中に入って来ました。ダビデの家来は、「今こそサウルを亡き者にする時です」とダビデに進言しますが、ダビデは、「油注がれた王であるサウルに手を下しことはしない」と答え、サウルの衣の裾を切り取って、自分の内には悪も背きもないことを示します。ダビデは、自分の安全や都合よりも、神のみ心に従い、神を信じました。善をもって悪に報いたのでした。後になって、上着のすそを切った事でさえも心の責めを感じたほどです。ダビデは、自らがどんなに不利になろうが、自らで手を下すことをしないと心に決めます。神が全てをなして下さるとの信仰に立ったのです。
ダビデは、自らのためにすべてをなしとげられる神に信頼したのです。神のご真実に、一切を委ねたのです。そのような状況で詩篇57篇を歌ったのです。そして、詩篇108篇1~5節に引用されているのです。2節に「私は暁を呼び覚まそう」とあります。ですから、依然として暗いのです。暗黒の中で、目を覚まして祈り、「私の心は揺るぎません。定まりました」と信仰に立ったのです。信仰に立ったダビデの上なる天が開け、主なる神の大きな恵みに目が開かれたのです。天のはるか上、雲にまでおよぶ、神の恵みとご真実が見えたのです。そして、5節「神よ。あなたが天で、あなたの栄光が全地であがめられますように」と宇宙的広がりさえ持った賛美をささげています。
私たちは、どうでしょう。今だ、光りの見えない暗黒の中で、信仰に立っているでしょうか。私たちの目は開かれて、主の恵みとまことが見えているでしょうか。天地を貫く宇宙的広がりさえ持った賛美を主にささげて栄光を主に帰しているでしょうか。
二、強め、勝利を与えてくださる神への信頼(6~13節)
6~13節は、詩篇60篇5~12節の引用です。第2サムエル記8章6節と14節に「こうして主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた」とあります。詩篇60篇は、ダビデの王国が確立し、ダビデの守備隊が次々と勝利して行く時代を背景として書かれています。
しかし、ダビデは、また代々の聖徒は、何の戦いも、痛みも知らないで、ただ勝利から勝利へと進んだわけではありません。激しい信仰の戦いがあり、失敗や痛みや苦しみを経験しました。多くの聖徒は、その苦しい経験の向こうに、輝かしい勝利を見出したのです。
詩篇60篇2節をご覧ください。「その裂け目をいやしてください」と訴えています。様々な困難に囲まれた時、心がずたずたに引き裂かれた時、神様に向かって、叫べばよいのです。「その裂け目をいやしてください」と訴えればよいのです。そうすれば、主は私の祈りに答え、「その裂け目」をいやしてくださいます。
詩篇60篇4節に、「あなたは、あなたを恐れる者に、旗を授けられました」とあります。この「旗」とは、勝利を与えるという約束のしるしです。
出エジプト記17章9~16節をご覧ください。この箇所は、ヨシュアに率いられたイスラエルの人々が、襲って来たアマレクの軍隊に対し勝利した箇所です。勝利の背後には、モーセの祈りがあったことが記されています。モーセが丘の上に立ち、手を上げて祈っているとヨシュアが勝ち、手を下ろしている時にはアマレクが勝ったというのです。モーセの手が重くなった時には、アロンとフルが両側からモーセの手を支えたのでした。そのようにしてイスラエルはアマレクに勝利しました。それを記念して、祭壇が築かれ、それをアドナイ・ニシ(「主はわが旗」15節)と呼んで主に感謝し、主による勝利を記念しました。
ですから、「旗を授けられる」とは、勝利の約束です。
詩篇108篇6節をご覧ください。ダビデは、神の右の御手による助けを祈り求めています。それに対する勝利の約束が、7~9節です。
11節に、「神よ。あなたは、もはや私たちとともに出陣なさらないのですか」と少し分かりにくい言葉があります。この言葉は、反語的用法で書かれており、「神よ。あなたは、もはや私たちと共に出陣なさらないのですか。いやどうか共に出陣してください」という意味が込められているのです。ですから、12節の「どうか、敵から私たちを助けてください。人による救いはむなしいのです。…神こそが、私たちの敵を踏みつけてくださいます」と信仰の告白が続くのです。
それゆえに、その信仰に立って、13節の「神にあって、私たちは力ある働きをします」と言い切ることが出来るのです。
(結論)私たちは、回りの困難の大きさに圧倒され、自分の力のなさを見て失望します。しかし、私たちを力づけ、勝利の旗を授けてくださる主によって強くされて信仰の戦いを勝利して参りましょう。最後に、
ピリピ人への手紙4章12~13節をご覧ください。主は、私たちにありとあらゆる境遇に対処する秘訣を与えてくださいます。ですから、パウロと共に「私を強くしてくださる方によって、私はどんなことでもできるのです」と信仰を言い表しましょう。