礼拝説教「自制と品位と忠実さ」2021年3月14日
聖書 テモテへの手紙第一 3章1~13節
(序)本日もテモテへの手紙からお話しいたします。
一、監督のあるべき姿 1~7節
「監督(エピスコポス)」は、今日でいう牧師のことです。礼拝をつかさどり、旅人をもてなし、正しい信仰について教え、金銭を正しく管理し、教会を治め、代表する務めを担う人です。そのような教会における重要な職務を担う監督に就くことを願うことはいかに尊いことであるかを述べています。よって、監督の職務に就く人の15の資質が述べられています。①非難されることのない人。② ひとりの妻の夫。不品行な人でない道徳的に厳格な人のことです。③自制のある人。④慎み深い人。⑤品位のある人。⑥よくもてなす人。⑦良く教えることのできる人。すなわち、キリスト教信仰を正しく理解してそれを教え諭すことのできる人です。⑧酒飲みでない人。⑨暴力をふるわない人。⑩温和な人。⑪人と争わない人。⑫金銭に無欲な人。⑬自分の家庭を良く治める人。⑭信者として間もない者でない人。⑮教会外の人にも評判の良い人でなければならないと述べています。
二、執事のあるべき姿 8~12節
続いて、執事のあるべき姿を6つ述べています。「執事(ディアコノス)」とは、補助的奉仕をする人であり、監督の指導の下に実際的な奉仕にたずさわる人です。①謹厳な人。気品とか品格が求められています。②二枚舌を使わない人。一人の人にはこう言い、他の人には別の事を言う二枚舌を使わない人です。執事は人に接する働きをするので、言葉に関する警戒が記してあります。要するに誠実で真実な人です。③大酒のみでない人。お酒は理性を狂わせ、その人の人生を狂わせてしまいます。特に執事は家々を訪ねる働きも受け持っていたようで、食事を共にする機会もあり、飲食についての警戒がなされています。④不正な利をむさぼらない人。⑤きよい良心をもって信仰の奥義を保っている人です。「信仰の奥義」とは、神によって啓示された正しいキリスト教信仰のことです。これらのことについて、審査がなされ、合格したならば、執事の職に任命するようにと述べられています。⑥家庭をよく治める人です。
さらに、11節は、婦人執事の条件が記されています。
①威厳がある人。女性のことですので、「気品があり」と言うことでしょうか。②悪口を言わない人。ディアボロスというギリシャ語が用いられ、「悪口を言い中傷すること」です。この言葉は、ディアバロー(「敵意をもって告発する」「うそを言って中傷する」「告げ口する」)という言葉から派生しています。英国では、医者としての仕事に就く、医学生に、ヒポクリテスが作ったといわれる医師の倫理綱領を教え込まれると言われます。この中に、医師は、患者の家で聞いたことや患者についてのことを他言してはならないというのがあるそうです。
さらに、11節には、③自分を制する人。④すべてに忠実な人。と条件がつけられています。
三、執事の務めを立派に果たした人の受ける恵み
13節には、執事の務めを立派に果たした人に与えられる恵みについて述べられています。「良い地歩を占め、…信じる信仰について確信を持つことができる」とあります。
執事は名誉ある職務であり、それによって尊敬を受け、信仰的にも確信を与えられて信仰から信仰へ、恵みから恵みへ、力から力へと進むことができるのです。奉仕に励むとき、信仰の確信がいよいよ与えられるのです。
私たち一人ひとりが、このような役員であり、信徒でありたいと思います。
(結論)教会の中で、指導者としての牧師の働きは重要ですが、それと共に、現代の執事としての教会役員の働きは重要です。そのために役員の人たちは励んでいただきたい。また、会員の人たちは、祈り支えていただきたいと思います。そして、お互い皆が、「自制と品位と忠実さ」を保ち、それぞれに与えられた使命を全ういたしましょう。